無料の代替ソフトを使えるかどうかは、機能一覧だけでは決まりません。現在の無料ソフトでも、レイヤー編集や色補正ができます。

判断基準は、作成したデータを誰に、どの形式で渡すかです。

次の3つに当てはまらない場合は、無料ソフトを選べます。

  1. 印刷会社にデータを入稿する
  2. 他人と PSD や AI 形式のファイルをやり取りする
  3. 仕事や学校で「Adobe形式で」と指定されている

この記事では、代替ソフトで問題が起きやすい作業を整理します。要件を先に確認すれば、無料ソフトで始めるか、Adobeを契約するかを判断できます。

Photoshop・Illustratorの代わりになる無料ソフト6選

代表的な候補は6つです。代替できるAdobeアプリは右端の列に示しています。

ソフト費用何の代わりになるか
GIMP無料(オープンソース)Photoshop(写真編集・加工)
Photopea無料(画面に広告が出る)Photoshop(ブラウザで動く)
Krita無料(オープンソース)Photoshop(イラスト・ペイント寄り)
Inkscape無料(オープンソース)Illustrator(拡大しても粗くならない図形データ=ベクターの描画)
Affinity(Photo / Designer / Publisher)無料(Canvaのアカウントで利用)Photoshop / Illustrator / InDesign
DaVinci Resolve無料版あり(上位版は買い切り)Premiere Pro(動画編集)

2025年以降の大きな変化が Affinity です。買い切りソフトとして知られていましたが、Canva傘下になってから無料で提供されています(AI系の機能を使う場合のみ Canva の有料プランが必要です)。

無料の代替ソフトが、機能面で常に劣るとは限りません。 ファイルの受け渡しと印刷入稿の要件で判断してください。

作ったデータを、自分以外の誰かに渡しますか?

いいえ(自分だけで完結する) 無料ソフトで足ります ファイルの互換性の問題は起きません

はい

渡す相手からAdobe形式や入稿の要件を指定されますか?

はい Adobeの契約が現実的です 変換した場合の崩れの確認と手直しに時間がかかります

いいえ(画像で渡せる) 無料ソフトで足ります 書き出した画像で足りるなら互換性は問題になりません

無料ソフトを使えるかどうかを、ファイルの受け渡しと入稿の要件で判断します。

判断の軸は、ファイルの受け渡し・印刷入稿・Adobe形式の指定の3つです。順に説明します。

無料ソフトでPSD・AIファイルをどこまで受け渡せる?

「PSDを開けること」と「編集状態を保ったまま受け渡せること」は異なります。ファイルを開けても、表示や編集状態が変わる場合があります(2026年7月28日に各ソフトの公式資料で確認した範囲)。次の表に、ソフトごとに変化する可能性がある機能を示します。

ソフトAdobe形式の対応崩れうるところ
GIMPPSD の読み書きに対応一部のPSD機能は読み込まれず、レイヤーの合成モードが完全には一致しない
PhotopeaPSD の読み書きに対応。AI・PDF・INDD 等も開ける公式資料では確認できていない
KritaPSD のレイヤー・合成モード・マスク等を読み書き変形マスクなど対応外の機能がある
InkscapeAI ファイルを開けるグラデーションメッシュは細かいパスの集合に置き換わり、透明の合成モードが効かない。AI形式での書き出しはできない
AffinityPSD・AI・PDF・IDML 等を開けるスマートオブジェクトや一部フィルターは統合される(レイヤーとしての編集性が失われる)

自分だけで完結する作業では、互換性の違いが問題にならない場合があります。ほかの人と受け渡す場合は、受け取ったデータの表示が変わったり、返したデータの編集状態が変わったりする可能性があります。受け渡すたびに表示と編集状態の確認が必要です。

印刷入稿に使える?CMYKとファイル形式が判断基準

チラシ・名刺・同人誌などを印刷会社へ入稿する場合は、色方式とファイル形式を先に把握してください。印刷では CMYK を指定されることが多く、対応状況はソフトによって異なります。

  • GIMP は、編集が画面表示用の色方式(RGB)前提で、CMYK をそのままの形式では扱えません。読み書き自体は可能ですが、変換を挟む運用になります
  • Inkscape は CMYK での出力ができず、別のソフトを経由する必要があります
  • Krita には CMYK のモードがありますが、公式は RGB で編集して疑似的に確認する運用を勧めています
  • Photopea には CMYK モードがあります
  • Affinity は CMYK に対応しています。ドキュメントの色方式として CMYK を選べ、印刷会社に合わせた色の設定(プロファイル)を指定する手順も公式に案内されています(Publisher の公式ヘルプで2026年8月6日に確認。Photo と Designer は個別に確かめていません)

印刷入稿への対応は、無料か有料かではなくソフトによって異なります。Affinity は CMYK に対応し、GIMP や Inkscape は別のソフトを経由する必要があります。GIMP で制作を始めたあとに CMYK での入稿を指定されると、色方式の変換と再調整が必要です。入稿先の要件は、ソフトを選ぶ前に調べてください。

入稿時の色方式は、印刷会社の指定で決まります。指定に合うソフトを選んでください。Adobeを利用する場合のプランは、Adobeを安く始める方法にまとめています。

ブラウザで編集するならPhotopeaとPhotoshop Web版を比較

インストールせずに使う場合は、Photopea と Photoshop の Web 版を比較します。利用できるファイルと料金条件が異なります。

  • Photopea: 無料で自分のファイルを開いて編集できます。そのかわり画面に広告が表示されます
  • Photoshop Web 版: 操作は無料で試せますが、自分の写真をアップロードして編集するにはプランの登録か無料体験が必要です(Web 版の案内ページ。2026年7月28日確認)

手持ちの画像を1枚編集する場合は、無料で自分のファイルを開ける Photopea を利用できます。Photoshop の操作を試してから契約を判断する場合は、Web 版と無料体験を利用します。

ただし、7日間の無料体験は終了後に自動で有料契約へ切り替わるため、開始前に終了日を記録してください。Adobeの無料サービスは無料で使う方法の記事で説明しています。

仕事や学校でAdobe形式を指定されたら契約を検討する

求人や取引先、授業の課題で「PSD入稿」「AIデータ納品」と指定されている場合は、指定されたソフトを利用してください。代替ソフトで作成して変換すると、表示や編集状態が変わる可能性があり、受け渡し相手にも表示を見てもらう必要があるためです。

その場合も、全部入りのプランが必須とは限りません。Photoshop だけを指定されている場合は、単体プランかフォトプランを選べます。

無料ソフトで要件を満たせないならAdobeへ切り替える

選ぶ手順は次のとおりです。

  1. 印刷入稿・ファイルの受け渡し・Adobe形式の指定がなければ、無料ソフトを試す
  2. 無料ソフトで要件を満たせない作業が出た時点で、その作業に必要なAdobeアプリを契約する
  3. 契約前に、安く始める方法で割引と支払い方式を確認する

無料ソフトで試すと、必要な機能を把握できます。Adobeへ切り替える場合も、必要なアプリだけを含むプランへ候補を絞れます。

よくある質問

無料ソフトについて多い質問に、短く答えます。

無料ソフトは Photoshop の代わりになりますか?

機能面では実用的な選択肢があります。2025年以降は Affinity が Canva のアカウントで無料になり、「無料の代替ソフトは機能で劣る」とは一概に言えなくなりました。ファイルの受け渡しと印刷入稿の要件で判断してください。

PSDファイルのやり取りはできますか?

開くことはできますが、表示や編集状態が完全に同じになるとは限りません。レイヤーの合成モードが一致しない、スマートオブジェクトが統合されるなど、ソフトごとに変化する箇所が異なります。ほかの人とファイルをやり取りする場合は、表示と編集状態の確認が必要です。

印刷会社への入稿に使えますか?

入稿の要件しだいです。色の指定方式や入稿形式を業者から指定される場合、無料ソフトでは要件を満たせないことがあります。入稿先の指定を先に把握してください。

仕事や学校でAdobe形式を指定されたら、どうすればいいですか?

指定された形式で受け渡しする必要があるなら、Adobeの契約が現実的な選択になります。無料ソフトで作ったものを変換して渡すと、崩れの確認と手直しに時間がかかります。

まとめ|機能ではなく、受け渡しと入稿の要件で決まる

最後に、無料ソフトで足りるかの判断材料を整理します。

  • 無料の代替ソフトにも、実用的な機能を備えた選択肢がある
  • 印刷入稿(CMYK)・PSD/AIの受け渡し・Adobe形式の指定がある場合は、互換性を確認する
  • 印刷入稿への対応はソフトによって異なる。GIMP と Inkscape は別ソフトを経由する必要があり、Affinity は CMYK に対応する
  • 無料ソフトで要件を満たせない場合は、必要なAdobeアプリだけを契約する

無料ソフトで要件を満たせなかった作業だけをAdobeへ移すなら、公式ページで必要なアプリを含む最小のプランを選んでください。

各ソフトの対応状況は2026年7月28日に各公式の資料で確認したものです。仕様は更新されるため、導入前に配布元の最新の案内を確かめてください。